よく子供やペットのおもらし等で相手に迷惑をかけてしまうことを「粗相」と呼ぶことがあります。日常で使うイメージが強い言葉ですが、ビジネスでも使うことがあります。また若い人ならではの「粗相」の使い方もあるようです。「粗相」の本来の意味と使い方を解説していきます。
「粗相(そそう)」の意味
「粗相」は「そそう」と読み、元々仏教の言葉を語源とした言葉です。仏教用語では「麁相(そそう)」でしたが、そこから転じて今の書き方になりました。
「粗相」といえば子供やペットのおもらしというイメージが強い人もいるでしょう。ですが、「粗相=おもらし(定められた場所でないところで排泄してしまうこと)」だけとは限りません。本来の意味はビジネスでも十分使える言葉なのです。
「粗相(そそう)」の意味は「過ち」
【粗相の意味】
粗相 | 過ち・間違ったこと 子供のおもらし そそっかしいこと 粗末なこと |
「粗相」とは「過ち」という意味です。語源となった仏教用語の「麁相」もほぼ同じ意味を持っています。勿論おもらしも「粗相」の意味の一つですが、それだけではなく「過ち」そのものに対して「粗相」と呼ぶことが出来るのです。
「粗相」には「そそっかしい」「粗末」という意味もあります。たとえば「お客様に粗相のないようにしてください」という使い方は、「粗末に扱うことのないように」という意味です。
「粗相」の過ちは「些細な」過ちという意味で使うことが多い
「粗相」の指す「過ち」は、基本的に「あまり重大ではない些細なミス」であることがほとんどです。たとえば名刺を出す順番を間違えた、お茶を出すのが遅れてしまったというような「そこまでダメージを与えないミス」を一般的に「粗相」と呼びます。
ただし、「その問題は些細なことか否か」については当事者同士の受け止め方によります。たとえどちらか一方でも、当事者がその問題を重く受け止めているのであれば、それは「粗相」ではなくなります。
「粗相(そそう)」の使い方
「粗相」本来の使い方は上記で取り上げた「些細なミス」「粗末」としての意味で使われることが多く、ビジネスでも使うことが出来ます。一方で、学生などの若い人の中にも独特な「粗相」の使い方があるようです。若い人が使う印象が薄い「粗相」ですが、どのような使い方をするのでしょうか。
「粗相」は自分や身内の過ちを指したり注意したりするのが基本的な使い方
「粗相」は「先日は子供が粗相をしてしまい申し訳ございませんでした」や「先程の打ち合わせでは粗相を致しました」というような、「自分側のミス」に対して言う使い方が基本です。目上の人やよその人のミスに対して「粗相」を使うことはほとんどありません。
先程紹介したような「お客様に粗相のないように」というのも、自分の部下や後輩に向けた言葉としての使い方がほとんどでしょう。あくまで「些細なミス」として「粗相」を使うようにします。
学生の飲み会特有の「粗相」の使い方がある?
先程紹介したのは日常や職場で使える使い方ですが、実は若い人に多い使い方で「粗相コール」というものがあります。学生の飲み会で、出し物で受けを狙おうとして滑ってしまう、または飲み物をこぼしてしまうことだってあります。
その時に「粗相!粗相!」と周りがコールを繰り広げることがあるのです。それを受けた人はお酒を一気飲みするという暗黙の了解がありますが、お酒の一気飲みは命に関わります。絶対に安易に使わないようにしましょう。
「粗相(そそう)」の例文
「粗相」の意味と使い方を説明しましたので、実践に近い具体的な例文を見てみましょう。「粗相」は当事者の考えや受け止め方に左右されることが多いため、ビジネスでは少し使いづらい言葉でもあります。そのため職場の他に日常でも使える例文も併せて取り上げます。
「粗相(そそう)」の例文【対象別】
【上司や社外の人に対する「粗相」の例文】
「先程は粗相をしてしまい、大変申し訳ございませんでした。」 |
「昨日の会議で部下の粗相がありましたこと、どうかご容赦くださいませ。」 |
【後輩・部下に対する「粗相」の例文】
「お客様に粗相のないよう気をつけてください。」 |
「午前のミーティングで粗相があったようですが、部長には早めに謝っておいてくださいね。」 |
主にビジネスで使うような「粗相」の例文です。上司や取引先に自分や身内が犯してしまったミスを謝る使い方もできますが、相手の受け止め方によっては失礼になる可能性もあります。「ビジネスシーンで使うコツ」で詳しく説明しますが、目上の人に使う際は注意しましょう。
「粗相(そそう)」の例文【場面別】
【ビジネスで使う「粗相」の例文】
「これから行く先は新規の取引先ですから、くれぐれも粗相のないようにしてください。」 |
【日常で使う「粗相」の例文】
「先日は子供が粗相をしてしまい、申し訳ございません。」 |
「粗相」はビジネスでも日常でも使うことが出来ます。ビジネスでは「軽率なミスや粗末によって失礼をかけた」という意味ですが、日常では子供やペットに関することで使うことが多いでしょう。状況によって意味を使い分けていく必要があります。
「粗相(そそう)」の類語
「粗相」でも十分ビジネスで使える丁寧な表現ですが、他にも似た意味で使える類語があります。完全に同じ意味ではありませんが、言い換え・または語彙力を広げるためにも覚えておくと良いでしょう。今回はビジネスでも使える「粗相」の類語を紹介します。
「粗相」の類語は「失態」や「目こぼし」
「粗相」の類語として挙げられるのは、「失態」と「目こぼし」です。どちらも度々使われる言葉なので、聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。両方「ミス・過ち」という意味で言いかえが出来る言葉になります。
失態
【例文】
「このサーバーダウンは完全に弊社の失態です。」 |
「失態」は「恥ずべき失敗をすること」という意味です。体面に響くものであり、世間から笑われるようなミスを指すのが本来の使い方です。よって、「粗相」よりもやや重い過ちという印象が強いでしょう。例文の他、「失態をおかす」という使い方もよくされます。
目こぼし
【例文】
「お目こぼしのないよう、よくご確認ください。」 |
「目こぼし」または「目こぼれ」は「目(視界)からこぼれる」という言葉の通り、「見落とす・見逃す」という意味の言葉です。漢字では「目溢し」と書くことが出来ます。基本的に「(文字や目視を含めた)情報を見落としてしまう」という意味で使うことが多いでしょう。
「情報の見落とし」というのもミスの一つに数えられます。自分が何かを見落としてしまったがためにミスを犯してしまったというということが分かっている際は、「目こぼし」を使った方が具体的です。
「粗相」の類語まとめ
粗相 | 些細なミスを犯すこと |
失態 | 恥ずべき過ちを犯すこと |
目こぼし | 見落とす・見逃す |
「粗相」とその類語の意味を比べてみましょう。「失態」は「粗相」よりも重大度が高く、「目こぼし」は「粗相」と比べてよりミスの要因が具体的ではっきりしています。時と場合によっては類語を使った方が適切なこともあるため、使う際はどれを使うのが良いのかを考えると良いでしょう。
「粗相(そそう)」をビジネスシーンで使うコツ
「粗相」は丁寧な言い方のため、ビジネスシーンでも使える言葉です。しかし、気軽に使って良い言葉かというとそうでもありません。場合によって相手を不快にさせてしまうことも十分あり得ます。
特に仕事や打合せでの謝罪の言葉として使う際は、自分と相手の認識が一致しているかどうかが大きな焦点になっていきます。自分が「粗相」どころではないと思っていても、相手が「些細なこと」と思ってくれているのなら良いですが、逆だと思わぬトラブルになるかもしれません。
ビジネスシーンの「粗相」は注意喚起としての使い方が無難
ビジネスシーンで使う「粗相」は、「粗相をしないよう気を付けてください」という注意喚起で使う方が無難です。この使い方が最も問題になりにくく、間違いがありません。
例文でも紹介したように、「粗相」は「先程は粗相をしてしまい申し訳ございませんでした」という使い方もあります。これはつまり、「自分のミスは些細なこと」と思っていることの証明になります。相手も同じように「些細なこと」と思ってくれているのであれば「そんなこと気にしていないですよ」でことは済むでしょう。
しかし相手にとっては重大なことで、「全然粗相なんかじゃない!ミスしたのはそちらなのに、そんな程度にしか見ていないのか」と思われてしまったら大変です。自分と相手の認識は必ずしも一致しません。自分が「些細なこと」と思っていても、相手はそうではないこともあるため、使うのは避けた方が良いでしょう。
「粗相」は自分側がへりくだっていう言葉
もう一つ忘れてはいけないのが、「粗相」という言葉は「へりくだった表現」であるということです。「粗相」は敬語ではないため謙譲語というわけでもありませんが、「自分側のミス」を丁寧に言い表した言葉になります。つまり敬意を払い、丁寧に対応していかなくてはならない相手にしてしまうミスが「粗相」ということです。
つい何となく使ってしまいがちですが、実際に使う際は「自分側を下に下げている」という意識を持つようにしましょう。丁寧な言葉を使うことだけが、相手に敬意を示すことではありません。
「粗相」をしてしまったらきちんと謝ろう
「粗相」の意味と使い方について解説しました。ビジネスの場で「粗相」等しないよう気を付けるべきですが、人間どんなに注意していても些細なミスをしてしまうものです。それは仕方のないことであり、相当なものでない限りは相手も分かってくれるでしょう。
もちろん、ミスをしてしまった方はしっかりと謝るべきです。謝罪もまた礼儀の内なので、誠意を込めた態度を見せましょう。そうすることで、自分と相手、はたまた会社間の良好な関係を維持することが出来ます。