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「慌ただしい」の意味や「慌しい」「忙しい」との違いを解説

2024年9月6日

ビジネスの現場でよく耳にする「慌ただしい」。でもいざ使うとなるとその正しい意味や、類語との微妙なニュアンスの違いが分からない。そんなあなたに「慌ただしい」をスマートに使いこなして頂くため、文例をいくつかご用意いたしました。ぜひご参考にしてみてください。

「慌ただしい」の意味

「慌ただしい」という表現。日常生活で使用される機会はあまりありませんが、ビジネスの現場において使用される機会は少なくはありません。

広辞苑、新明国辞典を参照したところ、「慌ただしい」とは「やることが多かったり、短時間に色々な事が起こって落ち着かない状態」の事をいいます。

「慌ただしい」には、口語でもなじみのある「忙しい」だけでは表現しきれない、「せかせかした気持ち」「視覚的にバタバタしている」というニュアンスが含まれております。

「慌ただしい」の使い方

基本的に「慌ただしい」にはマイナスのイメージが含まれています。「やる事が多くて、手に追い切れずドタバタしてしまっている」という事を表現したい時に使用しましょう。

注意しておきたい点が、「やる事に追われてやむを得ずに忙しい状態になっている」という事です。自分自身をへりくだって表現するときなどに使うのがベターでしょう。

また「政局が慌ただしくなってきた」や「あの人は慌ただしい日々の中で自分が持つ夢を忘れてしまった」など、そのまま批判的な意味合いで使われる場合もあります。

「慌ただしい」の例文【ビジネス編】

ビジネスの現場では、「慌ただしい」は基本的には自分自身や自分の身内の状態を表すときに使えば角が立つことはありません。

例えば、時間の都合上プレゼンの進行を速めてしまった時などに「慌ただしい終わり方となってしまいましたが、本日のプレゼンは以上になります」などといった使い方をします。

また、マイナスイメージの例外としてビジネス文書の挨拶に用いられる場合もございます。例えば、文書を送る相手の商売柄、手に負えないほどの忙しさが喜ばしいとされる時やよほど親しい相手へ文書を送る時です。こういった場合は例外として「年の瀬を迎え、何かと慌ただしい日々をお送りの事と存じます」などと用いられたりもします。

「慌ただしい」と「慌しい」「忙しい」「ご多用」「ご多忙」の違い・使い分け

ビジネスの文書に度々見受けられる「慌ただしい」の類語、類義語で「慌しい」「忙しい」「ご多用」「ご多忙」があります。それぞれ用いられる場面やニュアンスに少しずつ違いがあり、その時々で使い分けが必要となってきます。

それでは、「慌ただしい」と各類語の違いを見ていきましょう。

「慌ただしい」と「慌しい」の違い・使い分け

「慌ただしい」と「慌しい」、結論から言うと意味合い的には両者の違いは全くありません。どちらも読み方は「あわただしい」です。どのような場面においても両者を使い分ける必要性もございません。

どちらかの送り仮名が間違えているというわけでもありません。広辞苑〔第六版〕では「慌しい」との送り仮名となっています。しかしそのほかの辞書では「慌ただしい」のほうが一般的に使われています。

では「慌ただしい」と「慌しい」、一体どちらの送り仮名を使えばいいのでしょうか。文化庁の公式HPの「公文書の書き方資料集」では「慌ただしい」が採用されています。また同資料集の「送りがなのつけかた」のまえがきには「なるべく誤読、難読のないようにする」との文言もあります。

「慌ただしい」と「慌しい」、どちらを用いても間違いではありませんし、教養を疑われることもありません。しかし一般的に使われ、誤読も避けられるため「慌ただしい」を用いる事がベターといえます。

「慌ただしい(慌しい)」の文例

先ほども触れましたが、「慌ただしい(慌しい)」は基本的に自分の状態を表す時に使用してください。

たとえば忙しい日々を送る女性を気遣う言葉は「育児や家事に追われる毎日をお過ごしの事と存じますが」と使い、逆に自分が「ドタバタしていて、、、」と表現する時には「育児や家事で慌ただしい毎日でやるべき事に手がつかず」という風な使い方をします。

「慌ただしい」と「忙しい」の違い・使い分け

「慌ただしい」と「忙しい」はどちらもせわしなく動いていることには変わりはありません。しかし冒頭でも触れたように、「慌ただしい」には「やる事が多く手に負えなくなっている」や「突然の出来事にうろたえている」という意味が込められております。

対して「忙しい」には「やるべき事は尽きないがなんとかこなしている」とか「行動量は増えているが事態を把握しながら進んでいる」という意味が込められています。

「慌ただしい」は受動的に「ドタバタさせられている」場合、「忙しい」は能動的に(またはある程度の主体性を保って)「ドタバタしている」場合に使用しましょう。

ですので、先方に時間を割いてもらった時などに「慌ただしい日々の中、お時間いただいて~」などと表現するのはご法度です。決して使わないようにお気を付けください。

「忙しい」の文例

先方からアポイントを取る際の前置きとして「お忙しいところ、申し訳ありませんが」と使ったり、時間を割いてもらったことへのお礼として「このたびはお忙しい中お時間頂きましてありがとうございます」という風な使い方をします。

「慌ただしい」と「ご多用」の違い・使い分け

「ご多用」は「忙しい」を相手に使う際の丁寧語です。前の項では「お忙しいところ」という表現がありましたが、これを更に丁寧に(あるいはお固く)表現する際に「ご多用のところ」と表現します。

「ご多用」も「慌ただしい」も言葉の意味としてはやる事が沢山ある事に変わりはありませんが、実際に相手がやる事が多いのかどうかはあまり重視されません。暗に「私、とても気遣っています」「私、ありがたく思っています」という事を伝えるために用います。

ご多用の文例

「ご多用のところ、大変恐縮ではございますが」「ご多用のところ、このような場を設けて頂きまして」など、先方でも特に気を遣うべき相手に対して使ってください。

「慌ただしい」と「ご多忙」の違い・使い分け

「ご多忙」は先ほどの「ご多用」と使い方、丁寧さに対して違いはありません。あえて違いを挙げるなら「ご多用」は「公私にかかわらず忙しい」、「ご多忙」は「仕事の面でとにかく忙しい」といったところです。

ただし注意していただきたいのが、「ご多忙」の「忙」には忌み言葉、悪字としての側面が見られます。「忙」を忌み言葉とする理由は諸説ございますが、「亡」が死を連想させるだとか「忙」の漢字を分解すると「心」を「亡」くすとなってしまうからだと言われております。

「ご多用」「ご多忙」、どちらも意味的には違いはございません。しかし、ビジネスの現場ではどのような事が命取りになるか予測がつかないものです。あえて使用する場合でもない限り、普段から「ご多用」の使用を心掛けるようにしましょう。

「慌ただしい」の類語・言い換え表現

「忙しい」「ご多用」「ご多忙」のほかにも、慌ただしいの類語・言い換え表現はございます。「慌ただしい」という言葉には「ドタバタ感」と「流動的な変化」の2つの側面があり、それぞれの類語をご紹介いたします。

「ドタバタ感」の側面から見た「慌ただしい」の類語・言い換え表現

やる事に追われ忙しい様子を表す際は「あくせくしている」や「せわしない」、「多事多忙」、「息つく間もなく」が類語に当たります。

単に「借金に追われ、息つく間もなく働き詰めている」や「あくせく働くことに嫌気が差し、田舎で自営を始めた」などといった使い方をします。

「流動的な変化」の面からみた「慌ただしい」の類語・言い換え表現

同じ状態が続かず、絶えず変化する事を表す際は、は「激動する」や「目まぐるしい」、「変転する」「移ろい行く」が類語に当たります。

「この業界の目まぐるしい変化について行けず…」といった使い方をします。

状況によって臨機応変に使い分ける

ビジネスの現場では社内の人間のみならず、取引相手さえも「慌ただしく」移り変わっていきます。TPOに応じて服装を切り替える事と同じように、相手や自分が置かれている状況をいかに把握し言葉を選んでいくかが重要です。

同じような意味合いの表現でもちょっとしたニュアンスの違いで、先方の顔色が変わってしまうことはしばしばあります。普段自分が読む文書でも表現のちょっとした違いを意識しながら読むのとそうでないのとでは、いざ自分が言葉を使用する際に明確に差が出てきます。どんな状況でも適切なことばを使いこなせるように、是非お試し下さい。

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