営業には個人営業と法人営業があります。不動産や保険・車のように個人を対象とする個人営業に対し、自動車部品やITシステムのように企業を対象とする法人営業では志望動機が異なります。ここでは法人営業へ応募する際の志望動機についてポイントを説明します。
法人営業とは
営業には、大きく分けて個人営業と法人営業があります。個人と法人では、商談の規模や金額が大きく違いますが、なにより意思決定の過程が違います。個人営業では営業マンの存在が大きく、相手との相性や信頼関係が商談成立の鍵となります。しかし法人営業では営業マン個人との信頼関係だけではなく、対企業でのメリット・デメリット・将来展望など様々な情報を集めた合理的な判断で商談が決裁されます。
法人営業で求められるスキル
法人営業で求められるスキルとは何でしょう?2012年7月「マイナビNext」の調査では、 ヒアリング力・課題発見力・論理的思考力・情報収集力の4つが上位に挙げられています。ヒアリング力・課題発見力は個人営業・法人営業ともに不可欠ですが、法人営業ではそれに次ぐスキルとして、論理的思考力と情報収集力が求められているのです。
なぜ論理的思考力・情報収集力が必要か?
法人営業は商談規模も金額も大きく、その成否が企業の命運に関わることさえあります。そのため商談成立までには、複数段階のの稟議や営業会議などの審査プロセスがあります。提案している商材が、相手企業にとってどんなメリット・デメリットがあるか、それによってどのような将来像が描けるか、それらを論理的にプレゼンすることは必須です。
更に最終決定権を持つキーマンは誰か、その影響力や意見、そして競合他社についてもしっかり情報収集した上で戦略的にアプローチしていくことが大切になります。
志望動機を書く際に整理すべき3つのポイント
志望動機を書く際に明確に次の3つの点を整理しておきましょう。
①企業に対する動機(なぜその企業なのか、どこに興味を持ったのか)
②仕事に対する動機(なぜその仕事なのか、自分の能力や実績がどう活かせるのか)
③キャリア形成に基づく動機(どのようなキャリア形成がしていきたいのか)
応募する企業がどのような商材を扱っているか、営業方法や対象となる顧客について、しっかり企業研究しましょう。そしてそこに自分の志望動機を紐づけしてください。
志望動機の書き方のコツ
ポイントが整理できたら、いよいよ志望動機の作成です。志望動機を書く際には、導入ー展開ー結論の流れを意識してください。その中で、先ほど整理した項目を盛り込むようにしてください。
1.なぜその企業なのか
数多くの企業がある業界の中で、なぜその企業を希望するのでしょうか?本音で言えば「待遇が良いから」「家に近いから」なんてこともあるのでしょうが、そこはもう一つ工夫してみてください。
待遇が良いということは、それだけ求められるスキルが高いことですので、そこにチャレンジしたいという思いを書いても良いかもしれません。家が近いということは、通勤に使う無駄な時間を、仕事にフルに使えるというメリットにもなります。工夫次第では、志望動機にもなりえるのです。
【志望動機例文 その1】
貴社を志望した理由は、長い歴史に裏付けされた高い品質と技術力、そして世界を舞台に常に新しい技術にチャレンジし続ける貴社の企業姿勢に惹かれたからです。日本のモノづくりの代表格である自動車産業において、その要とも言えるエンジン部品を製造販売している貴社で、営業を通し貴社の発展に貢献したく存じます。
【志望動機例文 その2】
貴社の「雇用の創造」という企業理念に共感し応募いたしました。私は学生時代に派遣社員という立場で、仕事をしていた経験があります。派遣社員に求められるのは、請け負った仕事に対してプロフェッショナルであるということだと考えております。貴社はそのために必要な教育や社会ニーズに応えた保育などのサポート体制が整い、社員満足度も高いと伺っております。貴社の営業として、お客様と派遣社員の方々の橋渡しをしたいと思います。
2.自分の実績または適性
仕事の経験がある方は、具体的な数字を入れて実績をアピールしてください。営業経験ではなくとも、社内で提案し実現した経験やそのために行った根回し、クレーム対応なども書き方次第で自己PRになります。
経験のない方は、自分自身のことで営業職に繋がる適性をアピールしましょう。若い方であれば、学生時代に経験したスポーツやアルバイトでも自己PRになります。そして何よりのアピールはやる気です。
【志望動機例文 その1】
私は前職で、システム営業に5年従事してまいりました。お客様の課題や求めているものを伺い、お客様がどのようなシステムを活用されたら業績に貢献できるか、丁寧にコミュニケーションを取りながら営業ををしてまいりました。その結果、年間1億の売上実績をあげてまいりました。その人脈やノウハウを貴社でも活かせるものと考えております。
【志望動機例文 その2】
私は小中高と12年間サッカーを続けてきました。粘り強く続けた結果、高校では県大会にも出場し、レギュラーとして準優勝を勝ち取りました。体力と粘り強さ、チームプレイには自信があります。また大学では学園祭実行委員会にも所属し、地元商店街の方々に協力をお願いしたり、商店側の要望を学校側と交渉し調整も行ってまいりました。これらの行動力が貴社でも活かせると考えております。
志望動機が難しい3つの業界
不動産や保険、金融などは個人営業のイメージが強く、法人営業での志望動機を考えるのが難しいでしょう。この3つの業界における法人営業について、ポイントを整理してみましたので参考にしてください。
金融業界の法人営業
金融業界の法人営業は、企業や団体向けの成長戦略に関わる提案営業がメインになります。顧客は企業経営者や役員・財務部門責任者で、専門知識を有する人たちです。そのため高度な専門知識をアピールする必要があります。
【志望動機例】
私の実家は中小企業を経営しております。幼い頃より、父が会社経営について銀行の方に相談している姿を見てまいりました。会社が規模を大きくしようとする際には、営業の方が親身になって融資の話をまとめてくださりました。私も同じように地域産業に貢献したいと思い、銀行業務検定、ファイナンシャルプランナーの資格を取得いたしました。貴社の地域密着型経営に魅力を感じております。
保険業界の法人営業
個人営業の代表格のような保険営業ですが、労災や資産管理など、企業に安心を提供するのが保険の法人営業です。保険営業には長い期間にわたってサポートしていく継続力が必要となります。
【志望動機例】
人が安心して生活していくためには保険は欠かせないものだと思っております。保険の営業は取り扱う商品の期間が長いため、じっくりとお客様と向き合い長期にわたって信頼関係が築けることが魅力です。貴社は法人営業に強く、社会ニーズに合った商品を提案されています。私も貴社の一員となって、お客様を生涯にわたってサポートしたいと思いました。
不動産の法人営業
不動産営業も個人を対象とした個人営業のイメージですが、不動産にも法人営業があります。法人営業では地元不動産会社や地元仲介業者と信頼関係を築き、土地を仕入れ、そこに社宅やマンション等を提案します。そのため提案力および高度なコミュニケーション・スキルが必要です。
【志望動機例】
貴社は、土地活用をしたいオーナー様と企業様を繋き、お互いに満足できる土地活用の実績を全国であげておられます。私も貴社の一員として、何十年も形に残る仕事をしてみたいと思いました。私の強みは、学生時代の飲食店アルバイトを通じて身に付けたコミュニケーション力です。
面接時の対応
書類が通り、いよいよ面接本番、面接時には再度、志望動機や自己PR、前職での実績などについて聞かれます。この時に、よく応募書類に書いた志望動機などを丸暗記して、そのまま答える方がおられますが、これは絶対に止めてください。なぜなら殆どの方が、暗記した言葉を思い出すのに必死になり、面接官の表情を見る余裕を失くしてしまうからです。
面接官は、書類に書かれたことを再確認しながら、具体的なエピソードを聞くことによって応募者の人柄を見ています。面接の前には仕事に繋がるエピソードをいくつか思い出し、いつでも応えられるように整理しておきましょう。そして志望動機や自己PRなどを話す際には、書類に書かれていない具体的なエピソードで話しを膨らませて伝えるようにしてください。
会ってみたいと思わせる志望動機を!
当たり前のことですが、書類選考を通過しなければ面接には行けません。そのためにも志望動機はとても大切です。履歴書は、これまでの自分の経歴を時系列に淡々と伝えるものですが、職務経歴書は自己PRのための書類です。自分が一番アピールしたいことを有数に記載することも可能です。やる気をアピールしたいのであれば、職務経歴書の有数に志望動機を書かれることをおすすめします。
そのためには企業研究、業界研究をしっかりとして、会ってみたいと思わせる志望動機を書くことが、面接に繋がるのです。